■夢とロマンと希望を胸に−5■
●夢とロマンと希望を胸に (株)マルハン代表取締役会長 韓 昌祐 氏 1931年生 老漁師サンチャゴは、何十日も魚が釣れない日が続いていた。神に見放され、完全な不漁続きだった。それにもめげず、たった一人伝馬船のような小さな船で、夜の海に漕ぎだしていく。 ある時、船よりも大きなカジキマグロが釣り糸に食らいついた。大暴れするカジキマグロの力で、船は木の葉のように揺れ、ひっくり返りそうになる。老漁師は全力を振り絞って、一昼夜、カジキマグロに引かれ航海を続ける。やがてカジキマグロは老人の執念に負け、銛で仕留められる。 ところが、小船に縛り付けられたカジキマグロから流れた血の匂いで、鮫に襲われる。何匹もの鮫に襲われ、不屈の闘争心で、つぎつぎにカジキマグロに襲いかかる鮫をこん棒で殴り殺す。まさに死闘だ。 大西洋の孤独な闘い。巨大なカジキマグロとの闘い。そして鮫との闘い。神が与えた試練につぐ試練。大自然のなかの壮絶な闘いを終えて、やがて老漁師サンチャゴは港に帰っていく。 ぼくはそんなに小説を読むほうじゃない。だが、そのとき老漁師サンチャゴの不屈の闘志、人間の限界に挑む忍耐、そして困難を乗り越えようとする精神力を思い出していた。何か不思議な感覚で、ヘミングウェイの「老人と海」のシ−ンが息吹のように力強く湧きあがって、ぼくに勇気を与えてくれていた。 老漁師サンチャゴの闘いは、神が与えた試練だと思った。神が与えた試練なら、人の助けを借りるのは神への冒涜だ。自分自身の問題は自分の力で解決しなければならない。ぼく自身の精神力、不屈の闘志で乗り越えなければならない。「よし! やってみよう。やりもしないで、はじめから命を絶つことばかりを考えるのは卑怯じゃないか。それから、ぼくを信頼した人々に対して、無礼じゃないか!」ぼくは心に強い誓いを立てていた。(つづく) |