■夢とロマンと希望を胸に−13■
●若者よ、夢を持て@ (株)マルハン代表取締役会長 韓 昌祐 氏 どこまでも暗い冬の海で、ボ−トの底にへばりつくようにして私は日本をめざした。潮気を含んだ空気はやたら冷たく、肌を裂かんとばかりに私にまとわりついてくる。周りの渡航者の嘔吐の匂いでむせかえる船底。そこは壮絶な空間だった。 太平洋戦争が終わり、中学校を卒業した私は、兄の勧めで日本へ渡る決意をした。その時、兄以外に日本には見知った顔もなく、また、日本の言葉もわからず、もちろん金もなかった。 ただ、日本には、なにかしら言葉にできない“希望”を見ていた。いや、希望ともよべない、ただの淡い“期待”だけがあった。 私は母が入れてくれた2升の米と「コンサイス英和辞典」が入ったカバンひとつを持ち、怪しげで薄汚れた船に乗り、黒くうねる夜の日本海を越えて、この国へやってきた。 そのときから、60年近い年月が流れた。 そして今がある。 私は今、1兆円を超える売上をあげる会社の会長をしている。私は恵まれているのか。私だけが特別なのか。 若者たちよ、覚えていてほしい。 私が、この国へ来たとき、2升の米と、新しいスニ−カ−と英和辞典、そしてこの体ひとつしかなかった。特別な知識もなく、その新しいスニ−カ−はすぐさま金に換えた。 それでも私は、今、マルハンの会長として、ここにいる。 (つづく) |