| ■声と足音が稲を育む■
●声と足音が稲を育む 古代米生産者 武富 勝彦 氏 62歳 20代からずっと肉中心の食生活をして、ビ−ルをがぶ飲みでしょう? 38歳のころ、血圧が上がって、不整脈も出ていた。扁桃腺もよく腫らしてたもんで、たまたま寄った薬局の人に「自然医学」という本を見せてもらった。食の大切さを勉強して、のめり込んでいったんです。 佐賀県江北町の家には、本家から分けてもらった70ア−ルの農地があったけど、それでは食べれんから教員になった。でも、父と母を手伝って農業はやっていました。少しずつ借りて、いまは田んぼが2.8ヘクタ−ル、畑が1ヘクタ−ルです。 スロ−フ−ド賞をもらったから、推薦されて、現在、短大と農業大学の講師になった。食の大切さを若い人に伝えていく仕事です。隣町の小学校の5年生にも教えています。一人一人、バケツに赤米、黒米、緑米を植えて収穫して、おにぎりをつくって試食する会をします。 「稲に声をかける」「足音を聞かせる」ちゅうのが大事です。朝、「おはようございます」、昼「こんにちは」「さようなら」、この3回。夏休みとか学校に来られんときは、自分の家から「よく育って」って声をかけるだけでもいいよ、と。 近づいていって足音を聞かせるだけで、稲は喜んでよく育ってくれる。それを子どもたちに徹底させる。声(言葉)の肥料、足音の肥料ですね。東海大学の片野學という作物学の先生から習ったんです。 稲刈りのときは必ず、(根元のところで茎が分かれていく)分蘖(ぶんけつ)の数をみんなに数えさせるんですよ。毎日声をかけてた子の稲は3本から150本ぐらいに分かれていた。この辺の田んぼでも30何本。150本ちゅうのはすごい。「稲にも心があるんだ」ちゅうことを、いつも子どもたちに教えてるんです。 |