新聞連載中は睡眠3時間

小さな郵便局(石川県鳳珠郡)
小さな郵便局(石川県鳳珠郡)

●新聞連載中は睡眠3時間 画家 原田 泰治 氏

82〜84年に新聞連載をした。全国各地に取材に出向き、絵だけでなく、約600字の文章も毎週書いた。最初は取材のやり方がわからず、資料を集めて原稿にした。出版社の役員から、「文章が木に竹を接ぐようで、お前らしくない。何か見ているんじゃないだろな」と言われんです。

話してくれた方の名前や住所、生年月日を聞くのに3ヵ月くらいかかった。取材がこれほど大変だとは思わなかったですね。そのころ、ファンレタ−の中に、厚い封筒があった。昔、学校の先生だった80歳のおばちゃんから。目が不自由でなので、めがねをかけ、虫眼鏡をつかって読んでいたという。ところが、最近は絵を手でなでるだけで、草のにおいや日のぬくもりが分かるというんです。

背中がゾクゾクした。たくさんの読者を意識し、うまく文章を書こうと八方美人になっていたと反省しました。このおばあちゃんに、「北海道や沖縄でいい光景を見ました。厳しい冬の土地に暮す人と出会いました」と、話しかけるように書くスタイルにした。おばあちゃんの手紙が原点です。

画家だけで暮してきたらやれなかったでしょうが、グラフィックデザインの仕事もしていたので、発注者の要求に応えるために段取りをつける頭もありました。海のテ−マの次は電車、そ