さよなら、体罰

運動会
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●暴力で根性を養えるわけがない! 元プロ野球選手・野球解説者 桑田 真澄 氏

経験頼りの指導者たち

野球の場合、指導者に免許(公認資格)が求められないでしょう。体罰が横行する原因のひとつにそれがあると思います。少年野球を見に行くと、三振して帰ってきた子をバ−ンと殴ったり、エラ−した子をバカヤロ−って怒鳴っています。信じられないかもしれませんが、小学校時代の僕はグランドへ行って殴られなかった日がなかった。キャプテンをやっていて、仲間がエラ−してもキャプテン来いと呼ばれて、僕がしばかれていました。だから練習前日から今度は何発殴られるんだろうって、もう恐怖でいっぱいでした。試合で負ければ、練習でボコボコやられるし、水は飲んじゃいけない、何しちゃいけないと理不尽そのものでした。

子どもたちに何が大切なのか、自分で勉強することもせずほとんどの場合は自身の経験を頼りに指導が行われています。高校野球の指導者のうち、甲子園やプロを経験した人というのはほんのひと握りですから、大半は「俺は殴られながら厳しい練習をやったが甲子園に出られなかった。お前たちが甲子園に出たいのなら、俺以上のことをやらなければならない」と思うんですね。びっくりするようなひどい指導がそこから生まれるんです。

夢のために自分を守った

そういう指導者の方に、もっと合理的で効率的な指導が必要じゃないのかと言うと、「いや桑田さんは、すごい練習をしてきたから今があるのでしょう」とよく言われます。でも僕はそういう練習はやってこなかった。千本ノックなんて受けなかった。毎日百球投げろと言われても従いませんでした。何故かというと、それをやれば絶対からだが壊れるから。周りにいっぱいいた良い選手がみんな壊れていくのを目にしていたからです。子どものころから僕は絶対プロ野球選手になりたかったので、中学や高校あたりで壊れてたまるものかと思って。だから自分で本を読んで、必要なこととそうでないものを分けるようにしていましたから、よく指導者とは対立しました。あとはすぐに結果を出すように努力して、ひたすら自分のからだを守りました。

そこで大切にしたのはバランスとタイミング。15歳、高校で清原(和博)君と出会って体格の差を痛感したのがひとつの転機でした。ああ、これで同じことをやっていては勝ち目がないな、と。からだが小さいものは、超合理的で超効率的で超科学的なトレ−ニングをしないと対等には戦えないなと、気づいたのです。ピッチングだけでは駄目でバッティングも守備練習もしなきゃいけない。休養も栄養も必要です。学生ですから勉強もしなきゃいけないし、遊びも大事です。勉強だけでも早稲田に入れるように本当に頑張りました。(つづく)

(指導者のためのスポ−ツジャ−ナル2009年冬号より掲載)

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