千葉さんを真似ていた

●千葉さんを真似ていた ノンフィクション作家 梯(かけはし) 久美子 氏

先日、古い本の整理をしていたら「ニュ−・ウ−マン」という文庫本が出てきた。22年前に46歳の若さで癌のため亡くなったジャ−ナリストの千葉敦子さんが、40代前半のころに書いた、働く女性のための自己啓発書である。

あらためて読んでみて驚いた。「置き忘れた時に目立つよう、手帳は派手な色のものを」「バッグにはいつも葉書を入れておく」「仕事机は複数持つ」―――私が実践していることがいくつも出てくる。複数の机を、というのは、仕事の種類によって机を変えると効率がいいという話だ。

何年か前から私は、長期の仕事と短期の仕事で机を分けている。自分で考え出したと思っていたが、千葉さんの言葉が頭に残っていたのだろう。「私はシ−ツを冬は5日に1回、夏は3日に1回取り換えます」とあり、これも私は現在まで、そのまま実践している。こんなことまで律儀に千葉さんの真似をしていたのかと苦笑した。しかもこの本の存在自体、すっかり忘れていたのだ。

ひとつだけ、これを読んだ20代のころの私には理解できなかったであろうことが書いてあるのを見つけた。「スランプに陥るのは、簡単な仕事ばかり受けている時だ」。今ならよくわかる。そして、わかる自分が少しうれしい。

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