普及活動のページ レッツ・ゴー・ボウリング!
宮田 哲郎
(社)日本プロボウリング協会 (社)日本体育学会・体育経営管理部会員
第43章
平成21(2009)年2月1日号
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目次 第43章 第42章 第41章 |
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前回(元旦号)の要旨は次の3点でした。ひとつは業界が
何もやらなければ、世界的不景気と若者の減少で1−2割の
減収が続くこと、一方で人口増加中のシニアは参加率が低く
、早期に「何らかのキャンペーン」が必要なことです。
三つ目は、本当の狙い目は『キッズとジュ二ア』であり、
早い効果も期待できると申しました。これら問題解決は現場
のマン・パワー増強と*経営パラダイムの変革だとも申し上
げました。 *思考の枠組みを変えること。
私見ですが、業界を救うヒントは80年代から急速に進歩
したスポーツ・マーケテイング手法に多数存在します。最近
5カ年間のやりかたもここに原点があり、毎月各地で交流中
の若手経営者の方々のご意見も十分に反映させています。
1、新しい甕に、新しい酒を!
新しい甕とはまったく新しい経営パラダイムのことですが、
酒は「ボウリング業界に無縁だった」公的・私的なスポーツ
需要を意味します。当然、このようなニーズの顕在化が簡単
に行くものではありません。
しかし、よい方法があります。未だ耳なれない手法ですが、
*『関係性マーケテイング』を正しく自由に駆使するのです。
各地でキッズ・ジュ二ア・シニア・幼稚園・学校など試行し
続けましたが、この頃は子どもたちの保護者や学校、地域の
教育行政機関から評価されるレベルまで仕上がって来ました。
*企業が顧客創造のために行う説得的なコミュニケーション、
または「もっぱら顧客と対話して行う、新しい需要づくり」。
ここで用語にチェックを入れましょう。
経営学の巨人P.F.ドラッカーは、会社は「社会の成員」
であるから、存続・発展の利益を確保する一方、地域の人々と
社会に貢献しなければならないと喝破しました。また、会社の
目的は「顧客の創造」にあり、企業を実りあるものにするのは
マネージメントだが、顧客創造の車の両輪はマーケテイングと
イノベーションであるとしています。
結局、マーケテイングは顧客のニーズを探り、顧客の満足を
得られる価値を提供する行為です。また、イノベーションは、
読んで字のごとく、顧客ニーズに対応するばかりでなく、自ら
新しい顧客満足を発明する(つくりだす)ことです。
2.頭を切り替えないとスタートできない
いままで、私が一貫して主張しているイノベーションとは、
過去50年のトレンド志向「一辺倒」は、もう止めようという
ことです。突然生まれたマス・レジャー・ブームで育った業界
ですから、無理もないことでしたし、あの頃は大正解だったと
評価してはいるのですが・・・。
やはりTV・新聞メデイアは、確実な即効性があります。
しかし、大金がかかるうえ、一過性が強く、絶え間なく露出
し続けないと効果が薄れるだけでなく、いったん休止すれば、
すぐに忘れられる危険性すらあります。
メデイア業界では、TV・新聞で大衆を引き付けることで、
従来のやりかたに早くも限界を感じています。私はわかり易く
もう[終わった]と言いますが、私の説が正しいかどうかは、
時間がたたないと判りません。しかし、できるだけ早く*地道
な仕事にかからないといけないことは、皆さんも痛切に感じて
おられるでしょう。
*センターの商圏を中心にしたエリアまたは関係性マーケテイング。
もう、大量生産と大量販売、大量消費の時代は終わりました。
そこには消費者意識の高度化と成熟化があり、*モノより心の
豊かさを求める人々が多くなってきたのです。
*「わが社は工場で化粧品をつくりますが、店では夢を売っているのです」
レブロン化粧品創始者 チャールス・レブロン。
すでに「近ごろの若者が,ものを買わなくなった」ようです。
つまり、衝動買いをしなくなったのです。自分への投資として
は高額な物を買うことは厭わないところを見ると、明らかに本物
志向へとシフトしているのです。
2,010年までの人口減で、業界は100万人以上の若者客
を失います。*逆に65歳以上人口は110万人近く増えますが
、参加率が*6%前後の「分別盛り」の方々です。昔より遥かに
[ヤング・ハート young at
heart]な団塊世代を
引き付けるのはムードでなく、本質を見せること、本物の魅力を
味わっていただくことと思います。
*30−40歳は90万人増、50歳代は180万人減。
ボウリングが大量動員するには、メタボ予防とリハビリ
以外は思いつかない。一方、約1、000万人のキッズ
とジュ二ア層は、ほとんど手つかずの有望市場。
2005年―10年の5カ年で、総人口は約1割減る
(144万人・厚労省人口問題研究所)。キャンペーンの
対象は、計算上キッズとシニアとなる。業界アプローチが
、今までのように[単純な娯楽、金がかからないから]と
いう単純な図式は、まったく通用しない恐れがある・・・。
(以上、前号より)
3.新しい収益源を再考する
将来、関係性マーケテイングが成功しなければ、人口構造の
変化による減収を補うことはほとんど不可能でしょう。現在、
収益の7−8割以上がフリー客に依存しており、一見さんの
大半は若者だからです。
更に追い討ちをかけるのは、低い再来場率とリピート率です。
いままで単純娯楽需要に安住してきた「ツケ」がまわってくる
のです。こうなると「コンセプトはスポーツだ!!」と誰でも
思うのですが、ことは簡単ではありません。
本コラムでは、スポーツ需要の開拓は国策に協力すること、
と言い続けていますが、「ボウリングの何処がスポーツ?
どう
したらスポーツになるか、ボウリングで何ができるか、何が
得られるのか」を証明できないといけません。
御社を除いて、ブーム時代から「金儲けのアイテム」と高を
括ってきた「普通のボウリング場」を信用する人は殆どいない
のです。実際、急に経営コンセプトを変えること(図表:収益源
のアン・バランス)や地域社会に行動して訴求することは容易
ではないのです。
つまるところ、この事業の将来は、ボウリング場が、
ボウリングで、スタッフ一同で、地域に貢献する覚悟が
あるか、どうかにかかっていると思います。「青臭い、
理論だ!」とおっしゃる方が多いことも知っていますが
、これが「関係性・・・のゆえん」なのです。
もう少しお話して終わりにします。
この経営手法がもたらすものは、「感動・共鳴・共感」
ですが、*今までのボウリング事業から発するものとは
全く異質で高度なものです。
*消費者意識の成熟化、高度化、多様化が原因です。
前提となるのは「深い経験」ですが、マーケテイングが
成功したときは、企業と顧客の長期的で継続的関係(ロイ
ヤリテイ確立)が強まるので、双方のコミュニケーション
による新しい需要が次から次へと生まれます。IT企業が
例外なく実施している提案型営業(サービス・マン訪問の
御用聞きスタイル)がその典型となります。
ボウリングの場合、深い経験の根底にあるものは「個人
の夢や欲求」ですが、顧客ひとり一人のニーズや夢は何か
、「ボウリングに何を期待しているのか」、スタッフはどう
応えるのか・・・などですが、次回に譲りましょう。
とにかく、「快適で楽しく過ごせるだけ」のボウリング
では、いまは結局 飽きられてしまいます。今なら、行政府
のスポーツ・キャンペーンに協力して培った人脈を頼りに、
年齢・性別を問わず、多数の地域の人々をセンターに招き、
種目の楽しさと有用性、「できれば感動できる部分まで」、
アッピールできるのです。
みなさんのご意見を聴きたいですね。
こんど、どこかでお会いしませんか?
以下、次号
図表:収益源のアン・バランス
50年代に誕生したボウリング事業は、60年−70年代の大衆レジャー・ブームで
普及拡大したが、主に「若者中心の娯楽ニーズ」に依存する安易な経営であり続けた。
いま、急速な市場の縮小(原因:景気後退、任天堂wiiや携帯電話など新たな消費ア
イテム出現、若者人口急減、設備の陳腐化・老朽化など)に直面している。


*人口減を補うものは、休眠中のキッズ(約1,000万人)と増加する
団塊の世代である。両者共通のコンセプトはスポーツであり、リピートを
うながす動機付けとなる。
採算点は財務内容によって異なる。全盛時、ライネージ(レーン当り)
が40―50G台では倒産の危機がある(銀行筋の評価)とされていた。
出典:「商業スポーツ概論」2008年 ケース・スタデイ 宮田哲郎