亭主が負けるのが鉄則

水中花 松田尚子 作
水中花 松田尚子 作

福岡市の全国亭主関白協会(全亭協)が設立10周年を迎える。ここでいう「関白」は、家庭内の天皇である妻を補佐する地位をさす。「いかにうまく妻の尻に敷かれるか」を日々研究している。

作家でタウン誌プロデュ−サ−の天野周一会長(56)は「風呂、めし、寝る」の3語に象徴される典型的な旧来型の亭主関白だった。99年に友人、知人4人が立て続けに妻に三下半をたたきつけられた。その話を何げなく妻にすると、「次はあなたの番よ」と矢が飛んできた。

それを機に、旧来型に決別した。しゃれ半分で始めた全亭協の会員は当初11人。団塊世代が定年を迎え、熟年離婚が社会問題化したのを契機に急増した。いまや40、50代を中心に17カ国の約7千人にまで膨らんだ。昨年暮れには「世界亭主サミット」が東京で開かれた。

全亭協が提唱する夫婦円満の極意の一つは「愛の三原則」。ありがとうをためらわずに言おう。ごめんなさいを恐れずに言おう。愛してるを照れずに言おう。

もう一つの極意が「非勝三原則」。夫婦げんかの際に「勝たない、勝てない、勝ちたくない」。妻は絶対に謝らず、反論すれば、昔のことを蒸し返される。亭主が負けるのが鉄則だそうだ。

封建的な体質で知られた九州男児にしてこれである。世の旧亭主関白も観念する潮時なのだろうか。

(朝日新聞「窓」より掲載)

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